人生初、乗った飛行機が離陸後に折り返すという経験をしました。飛行機好きとして貴重な機会だったと思うので記録に残しておきます。なお、記載の時刻は目安です。
元々のフライトスケジュールはこちらです。
ANA NH885
羽田発 クアラルンプール行き
出発 10月10日(木) 23:30
到着 10月11日(金) 6:00 ※現地時刻
フライト所要時間 7時間30分
出発から羽田に引き返すまで
出発前の時間は穏やかに流れました。困った点を強いて挙げるならば、ラウンジのシャワー待ち列が長かったことくらいです。(約2時間待った)
23:50
少し遅れてゲートを出発し離陸。羽田は滑走路が混雑するので少しの遅れはよくあることです。
ベルト着用サインが消えて、CAさんが機内食のスケジュールをアナウンスしてくれました。楽しいフライトを予感させます。しかし深夜便なのでテンションを上げている場合ではないんですね、寝なければ。ということで離陸早々アイマスクと耳栓をつけてうたた寝を始めました。
突然のアナウンス
0:40
頭の中を駆け巡る考え事が支離滅裂になってきて「そろそろ眠れるかも〜?」と思ったところで、機長からのアナウンスが入りました。挨拶かな?程度にぼんやり聞いていたのですが…
「当機は機材不具合のためクアラルンプールまでの飛行は不可能と判断し、羽田空港に引き返します。羽田空港到着時刻は1時20分です。詳細につきましては着陸後にご案内いたします。なお羽田までの飛行の安全性には問題ございませんのでご安心ください。」
うたた寝をしていたせいで反応が遅れましたが、大変な事態に陥ったことをゆっくり理解します。アナウンスから10秒くらい遅れて、機内には寝ぼけ気味の動揺が走りました。しかし天下のANA、きっとホテルや代替便については融通を利かせてくれることでしょう。とりあえず深呼吸をして落ち着きます。
着陸までの時間で、地上に降りて通信が復活したらやるべきことをリストアップしておきます。
・泊めてくれる現地の友人に連絡
・旅程を伝えていた人に連絡
・振替便で到着日や便名が変わる場合はマレーシアのオンライン入国カードを再入力する
こんなもんです。あとは
・あてがわれた場所で早めに寝る
現時点ではこの後の予定は何もわかりません。わからんものは考えても仕方ないので一旦保留。全部保留。着陸後の体力消耗が予想されるので、今のうちにうたた寝を再開します。
0:55
再び機長からアナウンスがありました。
「羽田空港着陸に向けて燃料を減らしています。通常の着陸とは異なるギアで、より燃料が減るように運行中です。多少の揺れや振動がありますが、安全性には問題ありません。」
燃料投棄。機場空論チャンネルでよく見るやつですね!
私は飛行機が大好きなので、航空機事故にも興味があります。飛行機がどんな事故を起こすのか調べたり、動画を見たりするのです。機場空論さんはその中でもお気に入りのYouTubeチャンネルなのです。
飛行機が着陸するとき、通常であれば燃料は残量が少ないかほぼカラッポで、そのぶん機体も軽いです。今回は羽田を飛び立ったばかりですから、着陸できる最大重量を上回っているのでしょう。
燃料がもったいないけれど…仕方がない…。
着陸してもすぐには降りられない
1:35ごろ
無事着陸。電波が拾えるようになったので各所に連絡します。寝てるだろうけど…。
案内のアナウンスを待ってしばらくは座ったままです。眠い(笑) 今何人の空港スタッフが私たちのために動いてくれているんでしょう。到着ゲートはてんやわんやかもしれません。でもANAの人たちも空港職員もプロですから、大変だと感じつつもしっかりやってくれているはずです!私は信じています!
しばらく待っているとCAさんからアナウンスがありました。
「飛行機のドアは開きましたが、皆様はそのまま待機していただくことになりました。しばらく席でお待ちください。詳しくは地上係員が案内します。」
1:55
またアナウンスです。
「このあと降りていただくことになりましたが、入国審査の準備のためあと30分くらいかかります。座ったままお待ちください。」
ひゃ〜、入国審査官も緊急出動か〜。こういうトラブル対応のための待機要員がいるんでしょうか。ありがたいことです。
待っている間お手洗いのために席を立つと「手を洗う水が出ないのでよろしければお使いください」とおしぼりを受け取りました。気持ちが嬉しいです。ありがとう。
とにかく眠いです。飛行機を降りるまでは少しでも寝ておきます。
気になる補償内容
2:00
おそらく全員がお待ちかね、補償内容についてのアナウンスがありました。
「補償金を、お一人一律3万円お渡しします」とのことです。
ここで私はこの後の行動方針を仮決めしました。3万円で補える範囲で復路便を後ろ倒しにし、クアラルンプール滞在期間延長を試みます。せっかく異国に行くので予定が許す限り長く滞在したいですね。幸いなことに仕事は落ち着いているので追加で有休も取れる見込みです。
ざっくりでも行動指針が決まると安心しますね。
降機後の手続きから仮眠まで
やっと降りる
2:10
ようやく降機します。CAさん全員申し訳なさそうな表情でこちらも申し訳なくなってきました。でも、安全をとった英断だと思います。むしろお礼を伝えなくては。と思って降機時にCAさんに声をかけたのですが…
「安全第一で!!安全大事です、えへへ、えへへ…」
コミュ障ーーーーー!!感謝ははっきり伝えないとーー!!ハーーーーー!!(懺悔)
ゲートを通り抜けるとたくさんのスタッフが出動していました。撮影禁止の場所だったため写真がないのですが、「NH885便キャンセル →こちら→」みたいな張り紙まで用意してありました。入稿審査エリアの一角をこの便の乗客専用ブースにしてくださっていました。ありがたや。
2:25
入国審査おわり
ターンテーブルで預け入れ荷物が返却されます。すぐ再出発するとしても、荷物は一度引き取らなければいけないのですね。
並んで待つ
ターンテーブル横のカウンターに長蛇の列ができています。これに並ぶのか!眠気との闘いになりそうです。
2:45
列が進む気配がありません。やはりこの人数の乗客(約200人)を小さなカウンターで捌くのは無理がありますね…。
スマホを見ると補償金申請フォームのショートメッセージが届いていたので、待ち時間で補償金の申請をします。電子マネーも選べましたが、銀行振込を選択。割と簡単にできました。
まだまだ並びそうだったので自分でも仮眠用の宿を探してみようと思いましたが、もう日付は変わって11日。取りたい予約は10日チェックイン分。(11日の午後にチェックインできても意味がないので)つまり、過去の予約を取ろうとしていることになってしまいます。そりゃ無理な話です、やはりここで並ぶしかありません。期待が外れるとつらいので「横になれたらラッキー」くらいに考ることにしました。
そうこうしているうちに補償金振込完了のメールが。はやい。
いつの間にか開いているカウンターが増えていました。列は少しずつ、しかし着実に進んでいます。踏ん張りどころですね。
カウンターでのやりとり
3:15
カウンターにたどり着きました。グランドスタッフさんと話した結果、このように落ち着きました。
・今から寝る場所
東京都内に住んでいる人については、タクシー代を一律1万5千円出すので一時帰宅して欲しいとのことでした。
GOアプリで概算を出したところなんとか予算内で帰れそうだったので、タクシー代を受け取り帰宅することにしました。(タクシー代もwebから申請です)
理由は聞きませんでしたが、空港近くの宿は遠方から来ている人に当てたいのかもしれません。
・往路便
折り返したNH885便は整備後に遅延扱いで再出発する、これが一番早くクアラルンプールに行ける、とのことでした。
他の便に振り替えはせずに、そのままNH885便に乗ることにしました。1回目搭乗時と同じ座席で手配されました。
・復路便
到着が大幅に遅れるので復路便も変更したい旨を伝え、手数料が発生するようであれば教えてくださいとお願いしました。
ここが本当にありがたいポイントなのですが、希望日に空きがあれば手数料なしで変更してもらえるとのことでした。(グランドスタッフさんが本部に確認の電話をしてくださいました。お手間をかけました。)いくつか候補日を挙げ、復路便を本来の予約の4日後に変更してもらいました。
周りのやりとりを聞いていると、ANA公式サイト以外から予約した人は色々とトラブルを抱えているようでした。航空券の購入は公式サイトから。大事なことなので大きな声で復唱してください、航空券の購入は公式サイトから。
3:30
カウンターでの手続きを終えてようやっと解放されました。すぐに寝られたら良かったのですが、家に帰らなければ…。ターミナルを出たところに待機していたタクシーに乗り込みます。
4:30
帰宅。変に興奮して落ち着かない気分です。
再出発の飛行機は12:00出発、チェックイン締め切りは11:00とのことです。逆算すると、3時間しか眠れないではありませんか。スマホをいじっている場合じゃないね!寝よう!
5:00 就寝
起きたらすぐ出発できるように服装はそのまま、靴下だけ脱いで就寝しました。元々深夜便の予定でゆったりした服を着ていたことが幸いしました。
再出発
再び羽田へ
8:00 起床
鬼の3時間睡眠です。睡眠サイクルのちょうどいいところで起きたらしく、案外スッキリとしています。旅行前に冷蔵庫を空にしておいたため朝食がありません。ラウンジでたらふく食べると心に決めてタクシーを呼びます。航空ファンなので何度もラウンジに行けるのは純粋に嬉しいことです(本当)
10:30
羽田空港再び。昨日も見た景色だな〜と思いながらチェックインカウンターに向かいます。こちらも昨夜の保安検査場よろしく、NH885便専用のカウンターが用意されていました。順番が来るなりお詫びされます。いいんですよ〜と、なるべく笑顔で応えます。何度も言いますが私は飛行機が大好きなので、飛行機に携わるすべての人に笑顔で接したいのです。荷物を預け、出発ゲートの確認をしました。
今度こそクアラルンプールへ
11:00
保安検査前のゲートでチケットを読み込んだところ「出発日が違います」という旨のエラーが出て係員さんが飛んできました。”大幅な遅延”という扱いなので、データ上の出発日は昨日のままになっていたようです。これに引っかかる人が大勢いたのか、あるいは引き継ぎがあったのか、チケットを確認するとすぐに通してくれました。
保安検査と出国を済ませてラウンジへ向かいます。昨夜と同じメニューです笑 寝不足と疲れで満腹中枢がおかしくなっているとわかっていたので、取りすぎないように気をつけました。
11:30
ゲートに向かうと再び遅延のアナウンス。さらに30分遅れるとのことです。今の私にとっては誤差の範囲内ですね笑 スマホの充電をしつつ、うたた寝をしつつ、ゲートが開くのを待ちます。
11:50
搭乗が始まりました。ここからは特にトラブルなく通常のフライトでした。
私の席から見える範囲では周りの乗客は全く同じ顔ぶれ、つまり乗客全員寝不足のフライトです笑 知らない人同士ですが、謎の連帯感というか、みんなで頑張ってクアラルンプールに辿り着こう!という雰囲気がありました。
機長は昨日とは別の人でした。(CAさんも変わっているように見えましたがお顔も名前も覚えておらず、定かではない…)

機内食をいただいたあとはずっとウトウトしていました。時間帯が昼なので絶妙に眠れません。早く横になりたいな〜と思いながら目を閉じてじっとしていました。
19:37 ※現地時刻
無事クアラルンプール国際空港に着陸しました。本来の到着時刻が朝6:00だったことを考えると、実に13時間37分遅れたことになります。着陸から降機までのラグを鑑みると体感的には14時間遅れです。長い旅でした。
感想 疲れたけど幸運なことも多い
とてもハードな移動でしたが、個人的にラッキーだったと思えるポイントがいくつもあります。それを記してシメとします。
・安全第一であったこと
言わずもがなですが、強行して墜落するよりマシです。パイロットの英断で命を救われたのかもしれません。飛行機だけでなく、すべての公共交通機関の安全対策に対する感謝の念が深まりました。
・引き返した先が自分の居住地であったこと
私は東京都在住の日本人なので、深夜の羽田空港に放り出されても落ち着きを失わず行動できました。これが海外だったら、英語も通じないような田舎だったらと考えると身震いがします。外国籍の人もたくさん乗っていたので、私の何倍も大変な思いをした人もいたことでしょう。
・便名と到着日の変更がなかったこと
入国カードの再入力をせずに済みました。私は友人宅に泊めてもらっているのでホテルの予約はしていませんでしたが、宿を取っていた人もチェックインの遅れだけで済んだものと思います。
・空港のイレギュラー対応を垣間見たこと
深夜の緊急着陸にも対応できる羽田空港の素晴らしさを身をもって体感しました。スタッフは皆さん的確に動いてくださり、大きな混乱はありませんでした。眠気と疲れでイライラしていた人は多いでしょうが、それは仕方のないことですね。誰しも疲れているときは余裕がないものです。
・結果としてKL滞在期間が伸びたこと
これは完全に棚ぼたですが、遅延を受けて復路便を後倒しにした結果、クアラルンプール滞在期間が伸びました。会社の休みも追加で取ることができたので、遅延で疲れた分のんびりバカンスしようと思います。
以上がNH885便折り返し騒動の顛末です。なかなかに疲れましたが、飛行機を愛する気持ちは一層深まったようにも思います。対応してくださったすべてのスタッフの皆様に感謝します!
クアラルンプール滞在、楽しむぞ〜!


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